世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から現在へと引き継がれてきた、かけがえのない宝物。

現在を生きる世界中の人々が過去から引継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産です。

1972(昭和47)年、ユネスコ総会で世界遺産条約(正式名称『世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約』)が採択されました。

この条約は、文化遺産や自然遺産を人類全体のための世界遺産として、損傷、破壊等の脅威から保護し、保存していくために、国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的としたものです。

現在、世界遺産は1,000件以上が登録されており、条約締結国は194か国です。日本は1992(平成4)年に条約を締結しました。

世界遺産には3つの種類があり、有形の不動産が対象です。

  • 文化遺産 顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など
  • 自然遺産 顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息、生育地など
  • 複合遺産 文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているもの

※顕著な普遍的価値とは 国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性を有するような、傑出した文化的な意義又は自然的な価値。Outstanding Universal Valueの略OUVとも表記されます。

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世界遺産に登録されるためには、「顕著な普遍的価値」の証明のため、「世界遺産条約履行のための作業指針」で示されている次の評価基準のいずれか1つ以上に合致するとともに、完全性や真実性の条件を満たし、締結国の国内法によって、適切な保護管理体制がとられていることが必要です。

i
人間の創造的才能を表す傑作である。
ii
建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
iii
現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
iv
歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観(の類型・典型)を代表する顕著な見本である。
v
ある一つの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本、又は人類と環境のふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)。
vi
顕著な普遍的価値を有する出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接又は実質的関連がある(この基準はほかの基準と合わせて用いられることが望ましい)。
vii
最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
viii
生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
ix
陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
x
学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。

※基準(ⅰ)~(ⅵ)で登録された物件は文化遺産、(ⅶ)~(ⅹ)で登録された物件は自然遺産、文化遺産と自然遺産の両方の基準で登録されたものは複合遺産となります。

完全性
自然遺産及び/又は文化遺産とそれらの特質のすべてが無傷で包含されている度合いを測るためのものさしとなります。従って、完全性の条件を調べるためには、当該資産が次の条件をどの程度満たしているかを評価する必要があります。
  • 顕著な普遍的価値が発揮されるのに必要な要素がすべて含まれているか。
  • 当該資産の重要性を示す特徴を不足なく代表するために適切な大きさが確保されているか。
  • 開発及び/又は管理放棄による負の影響を受けているか。
真実性
資産の文化的価値(登録推薦の根拠として提示される価値基準)が、次に示すような多様な属性における表現において真実かつ信用性を有する場合に、真実性の条件を満たしていると考えられます。
  • 形状、意匠
  • 材料、材質
  • 伝統、技能、管理体制
  • 位置、セッティング
  • 言語その他の無形遺産
  • 精神、感性
  • その他の内部要素、外部要素
保存管理体制
世界遺産条約では、「世界遺産資産の保存管理にあたっては、顕著な普遍的価値及び完全性及び/又は真実性の登録時の状態が、将来にわたって維持、強化されるように担保すること。」と定められており、次の3つの要件を満たす必要があります。
  1. (日本においては)文化財保護法による指定(重要文化財、史跡、名勝等)を受けて保護されていること。
  2. 資産(プロパティ)の周囲にこれを保護するための緩衝地帯(バッファゾーン)を設けること。
  3. 保存管理計画を策定すること。
文化庁・文化遺産オンライン「世界遺産条約履行のための作業指針」より引用