世界遺産について
- Q世界遺産とは? A 人類にとっての、また、地球にとっての未来に伝えていくべき貴重な遺産です。 世界遺産とは、1972年にユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」にもとづき、人類全体にとって価値のある遺産を世界が協力して保護することを目的としています。人類全体にとって、将来にわたって価値があると認められたものが世界遺産一覧表に記載されます。この価値とは、歴史、芸術、学術等における価値です。
- Q世界遺産になるためにはどうしたらいい? A ユネスコの世界遺産委員会で認めてもらう必要があります。 世界遺産条約を締結した国が、まず、国内の世界遺産暫定一覧表に記載し、その中から世界遺産に登録したいと考える資産をユネスコに申請し、イコモス(国際記念物遺跡会議)が調査を行い、その調査結果をもとに、ユネスコの世界遺産委員会で世界遺産に登録するかどうかを決めます。
- Q世界遺産にはどんな種類があるの? A 文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類があります。 文化遺産は、人類の歴史が生み出した遺跡や建築など。自然遺産は、地球の生成や動植物の進化を示すもの。複合遺産は、文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えたものです。彦根城は、文化遺産での登録をめざしています。
- Q世界遺産の数は? A 世界遺産は全世界で1,100件以上あります。 UNESCO World Heritage Centre(ユネスコ世界遺産センターホームページ[英文]) 文化庁ホームページ
彦根城を世界遺産にするために
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Q彦根城はなぜ世界遺産に登録されていないの?
A
これまで姫路城とは違う世界的な価値を見出せていなかったためです。
世界遺産の制度では、同時代、同種類の同じ価値をもつ資産を、別に登録することができません。
1992年に彦根城と一緒に世界文化遺産暫定一覧表に記載された姫路城が、17世紀前半の木造城郭建造物の建築様式を示す、人類史上の傑作として、彦根城より先に世界遺産に登録されたことから、彦根城には姫路城とは違う価値があることを説明する必要があるためです。 - Q彦根城はいつ世界遺産になるの? A 最短で2027年の登録をめざすことになります。 2023年からユネスコにおいて開始される事前評価制度を活用して、世界遺産登録をめざすことになりました。事前評価におよそ2年の期間を要することから、順調に審査や審議が進めば2025年度の国内推薦、2027年の世界遺産委員会での登録が最短のスケジュールとなります。
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Qユネスコの事前評価制度とは?
A
イコモスとの対話を通じて、技術的・専門的助言を受ける制度です。
世界遺産登録をめざす資産について、推薦書の本提出前に、顕著な普遍的価値などについて諮問機関であるイコモスより技術的・専門的助言を受ける制度。イコモスとの対話を通じて質の高い推薦を促すことを目的としています。
2021年の世界遺産委員会において導入が決定され、2023年より試験的に開始。2027年(令和9年)に推薦する資産より、予め事前評価を受けていることが義務化されます。ユネスコへの申請締め切りは毎年9月15日。 -
Q彦根城には世界遺産に登録できる価値があるの?
A
世界的にユニークな江戸時代の政治のしくみを示すお城が最もよく残っているところに価値があります。
江戸時代の政治のしくみを示す堀、石垣、御殿、重臣屋敷、庭園などの考古学的遺構と、建造物がひとまとまりに保存されているため、彦根城だけで、お城が江戸時代という安定した秩序ある社会の大切な役割を果たしたことを説明できます。
17世紀から19世紀の世界が目まぐるしく変化した時代に、200年以上にわたって武士が安定政権を築いた日本は、世界からも注目される社会でした。その時代の証人として、彦根城が世界的に価値があることは間違いありません。 - Q彦根城の世界遺産の範囲は? A 彦根城の中堀より内側の範囲です。 彦根城の中堀より内側には、江戸時代の領地をおさめるために不可欠な堀、石垣、御殿、重臣屋敷、庭園といった考古学的遺構と、天守などの建造物がまとまって残っています。
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Q彦根城を世界遺産に登録するためにはどうしたらいいの?
A
価値の証明、適切な保存管理、地域の参加の三点を満たす必要があります。
彦根城を世界遺産に登録するためには、①彦根城の世界的な価値があることを証明すること、②彦根城の価値を守るための保存管理体制を整えること、③地域住民が主体となって世界遺産にふさわしいまちづくりを進めることが必要です。
特に、近年、世界遺産登録は持続可能なまちづくりを進めるための取り組みが重視されるようになったので、彦根城にかかわりのある住民の方々が、彦根城の世界遺産登録を我が事としてとらえ、彦根城の保存と活用の取り組みを進めていくことが重要です。 -
Q彦根城の世界遺産登録に向けて個人でできることはあるの?
A
彦根城の世界遺産登録実現に向けて、さまざまな応援をお願いいたします
個々人が彦根城をとおして、どのように世界につながるかを考えることが大切です。通りの清掃活動など、自宅近辺をきれいにする、観光客の方々に対してあいさつをする、彦根市外に住む友人に彦根城のことを話してみるなど、自分でできる手軽なことを、1つずつ実行することが大切です。それが彦根の「おもてなし」になり、彦根を世界遺産にふさわしいまちへと育ててゆくことにつながります。
また、そのために彦根城を世界遺産に登録する必要があることをアピールすることが大切です。彦根市の彦根城世界遺産登録推進室に啓発グッズを用意していますので、それらのグッズをご自宅や職場に掲示していただければ幸いです。もちろん、ご自身で啓発グッズを作成し、掲示していただく、彦根城世界遺産登録のロゴマークを印刷物に掲載していただくといった活動もすばらしい応援活動です。彦根城世界遺産登録意見交換・応援1000人委員会にご参加いただければ、彦根城や世界遺産に関する情報提供があり、彦根城世界遺産登録のロゴマークを簡単に利用することができます。
彦根城が世界遺産に登録されたら
- Q彦根城が世界遺産に登録されたらどんなメリットがありますか? A 彦根城が世界の宝物として認められ、SDGsの目標の一つである、世界遺産と共にあるまちづくりが進み、世界との新たなつながりができます。 彦根城は、すでに国の特別史跡として認められていますが、彦根城が世界遺産に登録されると、人類の宝として守っていくことになります。また、地元においては、彦根城に対する愛着が深まり、彦根城を核としたまちづくりや産業振興が進みます。
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Q彦根城が世界遺産に登録されたら困ることがおきますか?
A
一時的な渋滞などが考えられます。
日本国内では、世界遺産に登録されてから数年間、それまでの1.3倍から4倍の観光客が訪れると言われています。彦根市は、この間も交通渋滞や彦根城の混雑などの問題を起こさないよう、県や近隣市町と連携して広域観光の取り組みを進め、観光客の分散をはかる取り組みを検討しています。
また、地域住民の方々にも、まちの種々の情報を積極的に発信していただき、観光客の方への「おもてなし」の方法を充実させることも効果的です。
世界遺産に登録されると、緩衝地帯も家の建て替えが難しくなるといった心配をされている方がいらっしゃいます。実際のところは、彦根城の周辺環境を保全するための諸計画や基準はすでに運用されており、家の建て替えを禁止するどころか、相応しいまちなみづくりを進めています。今後もこうした計画や基準によって世界遺産登録後の保存管理を進めていきます。このため彦根城が世界遺産に登録されても、資産内の施設については、大きく現状を変更するような大規模な改築を行わない限り、生活への影響はありません。緩衝地帯においても家の建て替えが以前よりも難しくなることはないと考えています。 - Q彦根城の世界遺産登録に関わりがあるのは彦根城のまわりだけですか? A 滋賀県全体に関わりがあります。 彦根城を活かしたまちづくり、世界遺産にふさわしいまちづくりは、彦根城やその周辺だけの取り組みではありません。江戸時代に彦根城が政治拠点となって社会の安定を保った彦根藩領(長浜市から近江八幡市にかけてのエリア)は言うまでもなく、滋賀県全体で新たな魅力を掘り起こし、これらを事由とした郷土作りと広域観光を進め、世界遺産に登録された彦根城を見に来られた観光客の方々に、滋賀県各地を訪ねてみたい、できれば滋賀県で暮らしてみたいと思っていただけるような取り組みにすべきではないでしょうか。
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Q一度登録されたらずっと世界遺産なの?
A
価値が失われたと判断されれば、登録抹消もあります。
世界遺産に登録されても、開発や紛争、自然災害などによりその価値が脅威にさらされれば、世界遺産委員会の「危機遺産」のリストに入れられる可能性があります。危機遺産となり、さらにその顕著な普遍的価値が失われたと判断されれば世界遺産の登録から抹消されてしまいます。近年では、イギリスのリバプールやドイツのエルベ渓谷が登録抹消になっています。
※世界遺産登録後は、世界遺産委員会が、資産の保全状況を確認するモニタリング調査を定期的に行います。 - Q彦根城が世界遺産に登録された後、どんな取り組みが必要ですか? A 彦根城を大切に守りながら、世界遺産にふさわしいまちづくりを進めていくことが重要です。 世界遺産登録は、SDGsなどで、持続可能なまちづくりの取り組みとされています。彦根城が世界遺産に登録されたあとも、彦根城の保存・整備を進めながら、そこに行ってみたい、ここで住み続けたいと思えるような、彦根城を活かしたまちづくり、世界遺産にふさわしいまちづくりを、みんなが一体となって進めていく必要があります。